チームにおいて、集団が大きくなると人の行動はどう変わるのか?

チームにおける社会的手抜き

社会的手抜きの意味

「三人寄れば文殊の知恵」という言葉があるように

二人より三人の方が多角的な視点で意見が出ることはわかっており

ブレインストーミングという、集団でアイデアを出し合うことによって

相互交錯の連鎖反応や、アイデアの誘発を期待する技法があるのですが

 

三人組が一番多くのアイデアを出すことができます。

 

しかし、スポーツチームのようにもっと人数が多い状態ではどうでしょうか。

統率力のあるキャプテンなどがいる場合はよいですが

大概の場合、なかなか大所帯をまとめ切れる人材がいるわけではないですよね。

 

集団になると人は手抜きになるということを示すある実験があります。

 

リンゲルマンの「綱引き実験」では

二人で引き合う場合は、本人の筋力の93%の力を出すが

三人では85%

八人ではなんと49%と徐々に力が抜かれていく。

人は集団になるだけで、無意識のうちに「まぁいいかな」という意識が働いてしまう。

 

他者に頼ることができる状況下で発生する心理現象

このことを心理学的に「社会的手抜き」などといいます。

社会的手抜きの原因とは

この社会的手抜きは、スポーツチームだけではなく

世代、文化、性別問わず見られ

その原因は

【1】同じ行動をする人が多く、個人の行動に注目がいきにくい状態にある

【2】自分より優秀だと思う人員がいるため、自分が特別努力しなくても

それなりの結果が出せる状態にある

【3】自分の努力の量に関わらず、評価、報酬が変わらない

といった個人の努力が不要と感じる状態にある

 

「1」では、コーチはどうせ自分を見ていないといった

他の選手に自分は埋没していると感じている選手が陥る状態です。

人は、「自分を誰かが見てくれている」と感じている時とそうでない時では

発揮できるパフォーマンスの質が変化します。

 

「2」では、自分よりも上手くて、監督、コーチに期待されている

仲間がいるため、自分が特別頑張らなくても影響はないだろうと感じている状態です。

試合のメンバー以外の選手が陥りやすい状態です。

 

「3」は、どう頑張っても評価されることはない状況の時に陥ります。

社会的手抜きの対策とは

では、人数の多いチームではどうしたらよいのでしょうか。

社会的手抜きが生じると、チーム全体のパフォーマンスが下がるだけでなく

個人の能力が発揮されずらい、発揮する機会が失われる

という可能性を高めてしまいます。

 

では、どうすればこの「社会的手抜き」をおこさないようにできるのか。

大きく3つあり

 

ひとつ目は「ターゲティング」

 

例えばミーティングの時に、「遠慮なく自由に意見をいってくれ」

というと、たいがい意見をいうのは同じメンバー

誰かがしゃべるならまだマシ

もっと悪ければ「シーーーーーン・・・・」という

冷たい静けさに襲われることになる。

まぁ、自分が意見を言わなくても誰かが話すだろうという意識です。

コーチ、先生も経験があることでしょう。

 

この静けさは、モチベーションの低下や

ミーティングへのネガティブ感情を生みだしますからいけません

 

漠然と意見を求めるのはNGです

このような時に

「●●●について意見を出し合いたいから

最初は目の下にホクロのある選手から30秒で話してください

次は、・・・・・の人ね」

というように、ターゲットを決める。

緑文字はふざけているようですが

選手は驚いて笑いながらお互いの顔を見合い

声を出します。すると発言がしやすくなります。

 

とかく反省会になりがちな日本のミーティングを

チームをより良くするための楽しい、意味ある時間にするための工夫でもあります。

意見を言いやすい空気を作るのも指導者の仕事です。

 

 

人を動かすにはまず、感情を動かすことです。

 

 

二つ目は「報酬」

アカデミー世代を育成するスポーツ現場での報酬とは

何か買い与えることなどではありません。

指導者の方の「ことば」が報酬になります。

 

これは、言葉をかけることによって

どんな立場、どんな状況であっても

監督・コーチは自分を見ていてくれている。

という安心感です。

 

安心感と共に、たとえ今現在はレギュラーではないとしても

「もっと頑張っていこう!」「また練習にきたい」

というモチベーションが維持され

他の人が居ようが居まいが

常に自分ができることを見つけることができるようになります。

 

ここでの「言葉」は、無理やりいい所を褒めるよりも

その日の練習でその選手が実際にやっていたことを

見たままを言ってあげるだけでいいのです。

例えば

「今日はすごく声がでてたね」

「さっき落ち込んでる仲間に声掛けしてくれたね、ありがとう」

見たままを伝えることで

選手は見てくれているんだという喜びと信頼を得ます。

 

三つ目は「役割を与える」

人は、自分にやるべきことや、役割があると自主的に動きます

 

救命救急で人命救助が必要な状況になった際

「だれか救急車を呼んでください」は誰も動かない可能性が高いのですが

「そこの緑のバックを持ったあなた、救急車を呼んでください」

これは高い確率で行動に移してもらうことができます。

 

このように、人は存在している意味を感じさせてくれる状況に

やる気を起こします。

 

簡単なことでよいので

アカデミー世代の子どもには特に意識して

役割を与えてあげてください。

・今日の練習を大きな声で引っ張る役目

・応援に来てくれている人にお礼をいう役目

・元気がないと感じる選手がいたらコーチに教える役目

など明確な指示をすることが大切です。

 

チームは個から 個を生かす現場づくりを応援しています!