アスリートを支えるエネルギー源の正体とは
最近、糖質制限が流行っていることもあり
アスリートやパフォーマーを支える重要なエネルギー源について
偏ったイメージが定着しているので
今日はエネルギー源についておさらいしたいと思います。
簡単に言うと、筋肉と一部の内臓を除くと
体内のエネルギー源はぶどう糖だけです。
そしてぶどう糖は血液から取り出します。
食べ物の中の炭水化物に由来するぶどう糖は、小腸から門脈を経て肝臓に入ります。
ぶどう糖以外の形で小腸に吸収された単糖類
つまり果糖やガラクトースも肝臓から全身の血液に入ります。
血液中を流れている糖質の9割以上がぶどう糖です。
ですから、血液の中の糖を「血糖」と言いますが
実質的にはぶどう糖であり
血糖の濃度(血糖値)も実際には血液中のぶどう糖濃度を指します。
血液中のぶどう糖の4割は脳で消費されます。
頭を使うと甘いものが欲しくなるよいうのはここから来ています。
私たちの血液の中には常にぶどう糖が流れているのですが
なぜ常に血液の中のぶどう糖が減らないかと言うと
減るたびに肝臓から補充されているからなのです。
肝臓は、血糖値が下がると、下がった分のぶどう糖を血液に放出します。
逆に血液上に糖が余って来れば、あえて放出せず、ストックしておくという技を持っているのです。
ただし、肝臓はぶどう糖を蓄えておく時には
貯蔵用にグリコーゲンという形に変化させ貯蔵しておきます。
グリコーゲンは、ぶどう糖が数珠つなぎになった構造をしていて
必要な時にはこのつなぎ目をカットして使用します。
マラソン選手のレース中のドリンクとして
レース中1Lの水分を補給したとして、その5%がぶどう糖だとすると
ぶどう糖は50グラムになり、これは200キロカロリーに相当します。
マラソン選手にしては計算上では10分程度のエネルギーです。
普通に考えると全く足りないですよね。
ではどうやって補給しているのでしょうか。
エネルギー枯渇を防ぐカラダの連係プレイ
人間を含め動物は、ほかの栄養素を原料としてぶどう糖を作り出すことが出来ます。
ほかの栄養素とは「脂質とたんぱく質」です。
ほとんどの身体の細胞はエネルギー源として、血液から「ぶどう糖」をくみ上げます。
ですから何が何でも血液にはぶどう糖がなければならないのですが
レース中、グリコーゲンも使い果たし
口から炭水化物も入れられないとなれば、自分で作り出すかないのです。
そんな時、最初に原料になるのは脂肪組織に含まれている脂肪です。
脂肪組織には皮下脂肪と内臓脂肪がありますが
マラソン選手には内臓脂肪があるとは考えにくいため皮下脂肪が使われます。
実際には、皮下脂肪の中に溜め込まれている中性脂肪と呼ばれる脂質が分解されて、
血液の流れに乗って肝臓へ運ばれ
肝臓の細胞が脂質を分解したのちに、ぶどう糖に作り変えます。
そして血液中に放出となります。
しかし、レース中に肝臓が筋肉のために作り変えるには
普通に考えて時間がかかり過ぎますよね。
しかしよくできたもので、筋肉だけは、中性脂肪も直接エネルギー源として使えるのです。
つまり、脂肪組織から分解されて血液の中に入り込んだ脂質を
直接エネルギー源として燃やすことが出来るのです。
わざわざ肝臓を通す必要がないのです。
筋肉がグリコーゲンを使い果たし
さらに血液から入ってくるぶどう糖の量も限られると
筋肉のエネルギー源は脂肪だけになり、皮下脂肪の分解が異常に早く起こります。
アスリートにとっては、栄養に関するチョイスミスは致命傷にすらなるのです。
なぜならメンタル面でもカラダの面でも
栄養が関係しない細胞はあり得ないからです。
だからこそ安易に糖質を制限することなく
自分のカラダをコントロールするために必要な栄養を
準備段階、リカバリー、補充などさまざまなシチュエーションに合わせ
摂れる知識を増やしていきたいですね。
いやぁ~ 今日も真面目な長文になってしまいましたね。
疲れたと思いますから、どうぞエネルギー補給に
甘くて吸収も早いスイカでも食べてリカバリーしてください。
メルマガ【ノンストレスコーチング】では
日々、現場で育成に尽力されている指導者の皆さまに
役立つ情報を、毎週金曜日に配信しています。
腸から強くなるための食べ方
「腸トレ 50の疑問」をプレゼント中です